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Feature

“BEHIND THE SCENE” #01 UNDER ARMOUR │ ストイックなブランドアイデンティティ。その背後にあるのは圧倒的なリアリティ。

&FLOWでは、アスリート・競技・ブランドの【アナザーストーリー】に目を向けたいと思っている。
アナザーストーリーとは、大会結果などとは違い普段なかなか目に触れることのない部分だが、そこにこそ本質や魅力があるのではないかと。
本企画“BEHIND THE SCENE”でも、様々なアナザーストーリーを取り上げていく。

第1回目にクローズアップしたのは、どんなジャンル・フィールドにおいても”ストイック”な魅力を放つ『UNDER ARMOUR』。
『UNDER ARMOUR』の強さ、そしてアスリートから支持される背景には、極限の環境テストでの経験・知識のシェア、アスリートとブランドサイドのチームワーク、ブランド運営サイドの現場主義があるのではないか。
そのアナザーストーリーを垣間見られた現場を2つ紹介していきたい。

/// SCENE.01
UA ALL OUT WINTER CAMP @NAGANO YUNOMARU

標高1750mに位置する長野・湯の丸高原は、トップアスリートにとって“高地トレーニングの聖地”と言われている。小雪混じりの冬の時期、この地に競技の異なる9人のアスリートが集結し、合同トレーニングを行った。

この合同トレーニングは、UNDER ARMOURの本国アメリカによって提唱された「勝者は、冬に創られる」というコンセプトのもと、DOME ATHLETE HOUSEのパフォーマンスディレクター 高木紀史さんによる、最新スポーツ医科学の知見と長年トップアスリートをサポートしてきている経験に裏付けされたウィンターキャンプである。

キャンプに参加したアスリートは、アマチュアボクシングの全日本チャンピオン森脇唯人、クロスフィットから諸正真悟 / 卜部令菜、サッカー界からは東京ヴェルディのバスケス・バイロン、ジュビロ磐田の上原力也、いわきFCの宮本英治 / 谷村海那のJリーガー4名、女子ラグビー日本代表選手の鈴木実沙紀、相撲のアマチュア横綱からアメフト最高峰NFLを目指す花田秀虎の面々。

競技も異なり普段は交流のないメンバー。それどころかライバルチームの選手同士といったアスリートもいる中、“寒冷環境でのトレーニングの重要性”を学ぶと同時に、“より高いパフォーマンスを獲得”したいという共通の目標に向かい、2日間のトレーニングに臨んだ。

chapter.01 “理論 / THEORY”

キャンプは、高木さんの人間の体のメカニズムや自律神経について、そして寒冷環境でのトレーニングの意義などの座学からスタート。
初対面のメンバーも多い中、彼らの緊張をほぐすかのように、高木さんはそれぞれにアスリートに問いかけ、時には知識やトレーニングを各自の競技との関連性に落とし込み「お勉強モード」にならない座学を行う。

また、アスリートのこのキャンプヘのモチベーションは高く、高木さんによる「寒冷環境でのトレーニングは、自律神経を鍛え、自律神経の可動域を広げ、気温への体温調整能力を上げる。プレー直前までウェア類を身に纏っていたり、温かい場所で待機するのではなく、一度寒冷環境に体を慣らして、その後にウェア類を着用することで、血管が拡張され、筋温が高い状態がキープされ、パフォーマンスに好影響を与えることができる。また、筋肉・睡眠等のリカバリー面においても寒冷環境トレーニングはメリットがある」などの知見は、選手たちのとって大きな財産になったはず。

私にとって、キツイトレーニングに耐えるためにも“なぜ?”の部分を頭で理解することはとても大事。
そのトレーニングの意味が分かっているから、つらいトレーニングも乗り越えられる。

今回の座学は、本格的なウィンタートレーニングを始める前の有意義な時間でした。

鈴木 実沙紀
バスケス・バイロン

僕は青森山田高校出身なので、当時は雪の上を走ったりは当たり前の環境。
その時は、自律神経うんぬんよりは、根性とかメンタル力アップのためのトレーニングだと思っていました。

しかし、今回寒冷環境に体を慣らすこと、筋肉の仕組みや使い方を体の覚えさせるトレーニングは勉強になりました。

座学で刺激を受けたアスリートが、その後の自由時間においてもトレーニングルームで高木さんをつかまえ、トレーニングフォームのチェック、あるいは体のメンテナンスやクールダウンなどについて質問する姿が印象的だった。

chapter.02 “実践 / PRACTICE”

翌日は、いよいよ早朝6時より寒冷地トレーニングがスタート。気温は−4度、酸素濃度も平地に比べて80%ほど、朝もやの湯の丸高地をランニングすることで、アスリートたちは自律神経を副交感神経から交感神経に切り替えていく。
体が温まったところでペアストレッチを行い、2部構成の本格的トレーニングメニューに入る。

アクティベーション・トレーニング

第1部は、普段使わない筋肉を刺激し、その使い方を体に覚えさせる【アクティベーション・トレーニング】
前日の座学同様に、それぞれの動作に意味付けをし、神経を使いながら眠れる筋肉を呼び起こさせる「普段アクセルワークの練習はしていても、ブレーキやハンドリングのトレーニングに取り組んでいない」という高木さんの例え話や一人ひとりへの気配り、声がけもアスリートたちの心をとらえ、彼らは真摯にトレーニングに向き合っていく。

ムーブメント・インテグレーション

第2部は、アクティベーションで刺激した筋肉を一連の動きに統合していく【ムーブメント・インテグレーション】
リズム感も必要となる“動き”を加えたステップをこなしながら、パワー&ストリングス系メニューに突入。チューブやケトルベルを使ったケトルベルスイング、メディシンボールを使ったバーティカルトス、バーベルを使ったコイヤルコイルといったメニューで、瞬発力とパワーの両方からレベルアップを測っていく。
そして、仕上げはスキー場のゲレンデを使ったダッシュ、シャトルラン、ペアランを繰り返す。急斜面でのランメニューで心肺機能や様々な筋肉が限界直前まで追い込まれていく。まさに『ALL OUT(すべてを出し尽くす)』なアスリートたち。

Last chapter “想い / MESSAGE”

そんなキャンプの最終章、今回のトレーニングを率いた高木さんは、アスリートのみならず、キャンプをサポートしていたUNDER ARMOURスタッフ、レポートで立ち会っていてメディア陣にも、円陣を組むように声をかけた。
そこで彼が話し出したのは、こんな言葉だった。


アスリートの現役時代というのは本当に短い。

その短い選手生命をかけて、アスリートたちは競技やトレーニングに向き合っている。
ブランドもメディアも、そんな選手たちの想いの上で成り立っている。

いまここにいるアスリートに、最大のリスペクトと感謝を持ってこれからも応援していってほしい。

“アスリートとブランドがお互いにリスペクトを持って進んでいく”
言葉にするのは簡単だが、実践するのは難しい。ブランドと携わるスタッフは、競技のメジャー・マイナー関係なく、自分たちの持つ情報やメソッド、そして現場の熱量をアスリートと共有していく。
そんなUNDER ARMOURのコアに触れた瞬間だった。

「UA ALL OUT WINTER CAMP」参加アスリート

森脇唯人 / ボクシング

諸正真悟 / クロスフィット

卜部令菜 / クロスフィット

バスケス・バイロン / サッカー

上原力也 / サッカー

宮本英治 / サッカー

谷村海那 / サッカー

鈴木実沙紀 / ラグビー

花田秀虎 / アメリカンフットボール

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SCENE.02
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Kazu

Kazu

Creative Director

松下和裕 / 横浜生まれ・鎌倉在住。長年、ストリートからハイエンドファッション、ライフスタイル、ビーチカルチャーまで様々な雑誌の編集長・副編集長を務める。現在は、Web&動画も含めた幅広いコンテンツを手がける。趣味は、サーフィン・アメ車・革ジャン・音楽・ワンコ。

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