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Story

孫の為に作ったボール入れが、世界中で人気の「サッカーボールホルダー」になったストーリー

KEI-CRAFT

鈑金職人だった私の父(じいじ)が引退後、孫の為にサッカーボール入れを作りました。
しかし、そのサッカーボール入れが思いもよらないことを引き起こします。SNSで話題となり、世界大会の優勝賞品に選ばれ、更に世界20か国以上で使われるボールホルダーになりました。今ではこのボールホルダーが累計2000個以上も販売されています。
今回は、その物語の裏側を紹介いたします。

始まりは孫の喜んだ顔が見たかったから

6年前のある日、私の父(じいじ)が、サッカーを始めた孫の為にサッカーボール入れを作ってきました。鈑金職人であった父が仕事を引退し、趣味で革細工を始めた2年目のことです。
これまでのサッカーボール入れは、ネット状のものかナイロン生地の袋状のものが主流でした。しかし、ネット状のものはボールが入れにくく、あまり耐久性もありません。袋状のものはボールのデザインを隠してしまいます。
祖父が作ってきたボール入れは6本の革ベルトでボールを包み込み、ボールのデザインが見えるようになっていました。その上、丈夫な本革で出来ており、とても耐久性に優れた作りになっていたのです。
じいじは、孫が練習でボロボロになったサッカーボールを誇らしく思い、それを見せながら持ち歩けないかと考えたのです。
そのボール入れをもらった孫はとても喜び、どこに行くときでも自慢気に持ち歩いていました。

そこで、息子の私から「せっかくの鈑金技術があるのだから、その技術を活かしてアルミを使ったボール入れを作ってみたら」と勧めてみました。すると父は「そんなの簡単だよ~」などと言って、数日後にはアルミをお皿状にして、その周囲から革のベルトを取り付けたボール入れを作って来たのです。

そのボール入れがこれまで見たことの無いようなデザインで想像以上にカッコ良かったので、みんなにも見てもらいたいと思い、私がSNSに投稿をしました。すると、海外のサッカー愛好家から「使いたい」「かっこいい」「どこで買えるのか」など多くの反響をいただきました。

ボール入れからボールホルダーへ

この進化したボール入れには、ボールホルダーという名前を付けました。
ボールバック、ボールケース、ボールネットなど、いくつかの候補が挙がりましたが、西部劇好きの父がどうしてもガンホルダーをイメージして作ったからと主張し、「ボールホルダー」という名前に決まりました。

そして、KEI-CRAFTが生まれる

その後父は、SNSによる世界中からの反響に戸惑いながらもボールホルダーの改良に没頭していきました。革を厳選し、裁断の仕方や表面の処理に改良を加え、金具などのディティールにもこだわったものを使い、試行錯誤を繰り返しながらボールホルダーは少しずつ進化していきました。当初はボールの入り口を紐で締め上げる形でしたが、より使いやすくなるようにボタンで開閉して出し入れする形に変更したり、フックでカバンに取り付けられるような改良を重ねていったのです。
これをまたSNSに投稿すると、海外のフリースタイルフットボール(*1)の選手達から使いたいとの連絡が頻繁に届くようになります。
*1)フリースタイルフットボールとは、昨今人気のスポーツで、サッカーのリフティングなどの技を進化させて、魅せるパフォーマンスに昇華させたものです。

フリースタイルフットボールの選手はフリースタイラーと呼ばれ、移動時にはボールを持ち運ぶ必要があります。
そんな彼らに、もっとスタイリッシュにボールを持ち歩いてほしいと考え、海外の選手にボールホルダーをモニターしてもらうことにしました。
彼らはとても喜んでくれ、使っている写真をSNSに投稿してくれるようになりました。

その投稿が連鎖を生み、更に他の選手からの問い合わせが増えるようになります。その結果、数多くの依頼がくるようになり、私達だけでは対応に困るようになりました。話し合いの末、継続的にボールホルダーを作り続ける為、少し販売してみようということになりました。
まず、国内ではホームページを作り、海外の方たち向けにはマーケットプレイスを利用して、手探りで販路を作りました。その際、名前が必要になり、父の名前:恵三(ケイゾウ)からKEI-CRAFTが生まれることになったのです。

フリースタイラー達に育てられ、フリースタイルフットボールの世界大会へ

ボールホルダーを作り始めて一年が経った2016年頃から、少しずつ売れるようになっていきました。その中で、フリースタイルフットボールの世界大会に協賛してほしいとの依頼が届きました。それは毎年8月にチェコで開催されているスーパーボールという大会です。世界中から400人以上のフリースタイラーが集い、フリースタイルフットボールの世界一を決めます。その大会に、父と私の二人で行くことにしたのです。

ボールホルダーを発売してから2年程度経っており、会場ではKEI-CRAFTのボールホルダーを使ってくれているフリースタイラーを何人も見かけました。
自分たちが作ったボールホルダーが、日本から遠く離れた国で沢山の方が使ってくれているということを目の当たりにして、とても感動したことを覚えています。
また、表彰式の賞品で、私達のボールホルダーが贈られるシーンはとても感動しました。

その後、国内の大会及びフリースタイルフットボールが盛んなオランダ、ルクセンブルク、ポーランド、ブラジルなどの大会にも協賛し、フリースタイルフットボールの世界では知らない人はいないブランドになりました。

子供たちの為にXO-Rモデルを開発

そしてボールホルダーを作り始めて3年目の2018年6月、やはり子供の喜んだ顔が見たいとの想いから、これまで培った技術を結集して作ったホルダーがXOモデルです。これは、比較的安価なPPテープのベルトで出来ており、アルミの皿も本革も使わない為、加工が容易です。更にとても丈夫で耐久性に優れた材料でした。

実はサッカーボールは小学生用の4号球と中学生以上が使う5号球の2種類があります。
当初はサイズの調整が出来ない4号用と5号用の2サイズを作っていました。しかし、使い込んだ4号球はボールが膨張して大きくなり4号用に収まらないケースが出てくるようになります。そこで、また試行錯誤の上、横ベルトにサイズ調整金具を設けて、4号でも5号でも使えるモデルを開発しました。これがXO-Rモデルとなります。

このXO-Rモデルが出来てから、再び販売数は少しずつ伸びていき、父一人では作りきれない状況になってきてしまいました。今までXO-Rモデルは1日に3つ程度を作ることが出来ましたが、それでは間に合わない状況になってきたのです。そのため、XO-Rモデルは、外注製作してもらう案が出たものの、他の人の手で作ることを拒みました。なぜなら、元職人ということもあり、自分の作品へのこだわりや熱量が高く、他の人では再現できないと考えていたのです。ただ、注文に対する納期が徐々に遅れ始め、そうは言っていられない状況になってきたのです。
そんな危機的な状況の中、ものづくりにとても興味があり、自分でも様々な作品を作っている私の友人が、「ボールホルダーを作ってみたい」と申し出てくれました。そんな彼女は、すぐにじいじに作り方を伝授してもらい、なんと3ヶ月程度でXO-Rモデルを作れるようになりました。
頑なに他人には出来るはずがないと豪語していたじいじですが、その3ヶ月間はとても楽しそうに作り方を教えていたのです。彼女は難しい作業や危険な作業も厭わず、じいじの作るクオリティを守ろうと、とても熱心に取り組んでくれていました。そんな熱意がじいじに通じたのだと思います。そんな彼女の協力のお陰もあり、生産力も飛躍的に向上し、月に100個程度まで作れるようになりました。もう今では、精度の高さや製作の速さの面でも、XO-Rモデルについては彼女の右に出るものはいません。
このXO-Rモデルは2年前の発売開始以来、1000個以上を販売しており、多くのサッカー選手達に喜ばれています。

町田市から認定をもらい、ふるさと納税の返礼品に。

一昨年、XO-Rモデルは町田市のトライアル発注認定制度にも認定していただき、恐れ多いことに町田市のふるさと納税の返礼品にも選んでいただけました。

・ふるさとチョイス
https://www.furusato-tax.jp/search?q=KEI-CRAFT


孫にボール入れをプレゼントした日から6年が経ちました。
時折、世界中の方達がボールホルダーを誇らしげに使っている写真を送ってくれます。じいじはそんな写真を見ると、とても嬉しそうです。

6年前、たったひとつのボール入れを作っていなければ、今のこのボールホルダーは存在していません。
孫の為に作ったボール入れが、年月を経て、ボールホルダーになり、世界中で愛されている事を実感しています。孫の喜んだ顔が見たかっただけのじいじが作ったボールホルダーは、いつか、街ですれ違ったサッカー少年のリュックにぶら下がっているかもしれません。
そんな日を、じいじは楽しみにしています。

KEI-CRAFT ホームページ
https://kei-craft-official.jp/

オンラインショップ
https://www.kei-craft.jp/

製品情報

オリジナルモデル(¥12,000~)
手加工で叩いたアルミ皿と本革のベルトで作った最初のモデルです。
これがフリースタイラーの目に止まり、人気になりました。

XO-Rモデル(¥3,900)
最終的にたどり着いたボールホルダーです。
比較的安価なPPテープで出来ており、製作も本革のオリジナルモデルより容易です。子供たちに使って貰えるように考えて、価格を抑えたモデルになります。今では、国内に小さな工場を設けて、一つ一つハンドメイドで作っています。これが、去年、町田市のトライアル発注認定制度にも認定され、町田市のふるさと納税返礼品にも選ばれています。
町田市のJリーグ町田ゼルビアとのコラボモデルも販売中です。

出典:PR TIMES STORY
https://prtimes.jp/story/detail/B5w0RLFow3r
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Daiki

Daiki

Chief Editor

高橋 乃希 / Webディレクターとして、数多くのサイトやWebメディアの制作・運用を経験。スポーツシーン・キャンプ・アウトドアへの関りも深く、「&FLOW」の編集長に抜擢。★ 野球、格闘技、ゴルフ、ランニング、自転車

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