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ゴミ0を目指した『マイボトルマラソン』。コロナ禍2度の中止を経て成功させた舞台裏

株式会社ゴールドウイン

ゴールドウイン、ザ・ノース・フェイスがサポートした湘南国際マラソン

2007年から始まった湘南国際マラソンは、普段は徒歩で立ち入ることのできない西湘バイパスを走りながら湘南海岸を一望できるという景観の良さもありランナーの人気が高いマラソン大会である。
2020年8月、株式会社ゴールドウインとゴールドウインが展開するブランドであるザ・ノース・フェイスは、第15回大会からこの湘南国際マラソンをスペシャルスポンサーとしてサポートすることを発表した。

ゴールドウイン、ザ・ノース・フェイスの『マイボトルマラソン』への取り組みを追ったドキュメンタリー動画

他にはないサステナブルな大会運営を

ゴールドウインは、「スポーツを通じて、豊かで健やかな暮らしを実現する」という企業理念のもと、地球環境を改善する循環型社会の実現に向けての取り組みを行っており、この大会をサポートするにあたり、多くの人に環境問題を意識しそれぞれのアクションへとつなげてもらえるきっかけになる、世界に誇れる環境に配慮したサステナブルなマラソン大会を目指すことを掲げた。

「ゴミを出さない世界に誇れる環境に配慮した大会」。このアイデアを推し進めてきた一人であるザ・ノース・フェイス事業部の後藤太志は、運営面において最も特徴的な世界初(※1)の取り組みとなる『マイボトルマラソン』を提唱した。大会の施策として、ステンレスジャグ6個とリターナブルボトル10個で構成される給水ポイントを約200個所に設置することで、これまで必要としていたペットボトル約31,500本、紙・プラカップ約500,000個、ゴール後に配布するペットボトル約26,500本を全廃しようという試みだ。これは500mlのペットボトルを約17万本削減するのと同等。試算ではCO₂の削減効果は約6tとされる。

(※1)
参加者が数万人規模のフルマラソン大会で、以下の条件を参加のルールとして開催する大会は「世界初」。レース中、マイボトル(容量400ml以上)の携行が必須/上記のマイボトルを満水にしてスタートする事が必須/「紙コップ及びプラコップ」での給水提供は一切行わず、参加ランナーが、自身の「マイボトル及びマイカップ」で水分補給を行う給水所運営を行っている。

このように大きな目標を掲げ準備を進めていた矢先に起こった新型コロナウイルス感染症の流行の影響により大きなイベントが中止を余儀なくされる中、例外ではなくこの湘南国際マラソンも中止に追い込まれた。2021年2月に開催を予定していた第15回大会、2022年2月に開催を予定していた第16回大会が中止となったのだ。
今回、2022年12月に満を持して開催された第17回湘南国際マラソン。ゴールドウインとザ・ノース・フェイスが大会をサポートすると発表してから1度の開催もないまま2年以上の月日が経過していた。後藤を初め、大会事務局のメンバーも並々ならぬ想いでこの時を迎えた。

サステナブルな大会が残した数字

第17回の湘南国際マラソンへは、フルマラソンのほか、ファンラン10km、2km、1.4kmなど4種目におよそ20,000人のランナーが参加した。大会全体のゴミの排出量は、2019年開催の第14回大会と比べて約70%の削減を達成。その中でも、コース上のゴミに関してはペットボトルの排出を0にするなど、約87%のゴミの削減を達成した。この事実は、「マイボトルマラソン」というアイデアがマラソン大会におけるゴミの削減の可能性を明確に示すこととなった。また、給水ポイントのペットボトルや紙・プラカップを全廃したことで、参加者が持ち込むペットボトルも減るなど、間接的な効果も生まれていた。最終的に、本大会の取り組みにおけるCO₂削減効果は、当初試算した通り約6tを達成した。

実際に、レース中の給水ポイントでのランナーの足元はどの大会よりもクリーンだった。
マラソン大会の経験者ならば給水ポイントで足元の紙カップに足を滑らせたこともあるだろう。この大会では、その光景が全く見られず、実際に参加者からも「カップが落ちていて躓くなどがなくて快適だった」、「ゴミが散乱してなくて滑りにくくて良い」など、ポジティブな声が挙がった。
懸念点でもあった給水への不安に関しては、「自分のペースで給水できる」、「いつでも飲めるという安心感があり、ホッとする」など、給水ポイントの多さへの評価が高かった。
アンケートによると、参加者のうちの約86%がこの取り組みの継続に賛成しており、給水に関しても約76%のランナーが行いやすかったと回答した。

また、『マイボトルマラソン』を叶えるこの大会のフォーマットのメリットとして、他の大会でよく聞かれる、ボランティアの疲弊についても軽減することができた。落ちた紙カップなどのゴミの回収、プラカップにドリンクを注いで並べるなどの作業がなくなり、給水ポイントでのオペレーションがシンプルになったことでボランティアの労力が減ったのだ。前回1,270人を必要としていた給水ポイントのスタッフが、今大会は360名で賄えた。大会全体を見ても、約3,000人のボランティアが必要なところ、今大会は約1,500人での運営ができた。

コース上にカップなどが散乱する前回大会の様子

大会会場にて、参加者を中心とした来場者に協力を依頼したリサイクルウェアやシューズなどのリサイクルも合計で約370㎏、段ボール箱にして23箱を回収した。これらのウェアは、ザ・ノース・フェイスの循環型アップサイクルプロジェクトである「EXPLORE SOURCE(エクスプロールソース)」によって新たな製品に生まれ変わる。回収されたシューズは、パートナー団体を通じてリユースシューズとして新たな役割を与えられることとなる。

その他にも、出場者の荷物入れに使用する袋にリサイクルポリ袋を採用する、会場の飲食に関してはリターナブル食器を推奨するなど、ゴールドウインがこれまで行ってきた、地球環境を改善する循環型社会の実現に向けての取り組みの知見をマラソン大会に活かすことに成功した。

繋がれる襷「『マイボトルマラソン』の大会をスタンダードに」

「世の中にサステナブルなどの人や社会、自然環境に配慮を求める言葉が広まってきている中で、日本だけでなく世界にもこの大会を参考にしてもらうことができれば嬉しいし面白い」
そう大会の前日に話した後藤。コンペティションの色合いが強い大会、ファンランがメインの大会と様々だが、先ずはこのフォーマットを日本全国のマラソン大会のスタンダードにすることが目標だ。

「ゴミを出さない大会に関して気持ちが良かったとの声ももらった。マーケットやスポーツイベントに一石を投じたいという思いで会社としてもブランドとしても大きな一歩を踏み出した。このフォーマットがスタンダードになるとも言ってもらえ、不安もあるが次につながる一歩だったと思っています」
大会終了後にそう話した後藤だが、実は既に2023年2月25日(土)に初開催となる『せとだレモンマラソン』(広島県尾道市)では、このフォーマットを採用し、『マイボトルマラソン』の大会に挑戦することが決まっている。ザ・ノース・フェイスと湘南国際マラソンの事務局も姉妹大会と位置付け、この大会をサポートする。
ゴールドウインとザ・ノース・フェイスが湘南国際マラソンと踏み出した大きな一歩、戻れない一歩は確実にその襷を未来に繋げて前進していく。

関連リンク

湘南国際マラソン
https://www.shonan-kokusai.jp/

せとだレモンマラソン
https://lemon-marathon.jp/

出典:PR TIMES STORY
https://prtimes.jp/story/detail/qb6ew8HOmWr
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Sudo

Sudo

Producer

須藤大輔 /「&FLOW」プロデューサーでありアジテーター。広告代理店や制作会社でAEとしてキャリアを積んで約四半世紀。主にファッションやスポーツ関連のクライアントを担当。アウトドアシーンにも造詣が深い。週末はラグビー三昧。ラン、ヨガ、トレーニングも。好きな言葉は「失ったものを数えるな、残されたものを最大限活かせ」。チャームポイントは涙腺が弱いところ。

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